TeamSMILEは笑顔と情報を世界へ届けます。

1. きっかけは一人の学生の研究でした

きっかけは1人の学部生の研究でした。感情は人から人へ伝搬していく。「情動伝染」と呼ばれる現状をもう一段階深く調べてみると、「人は幸福を感じたから笑顔になる」だけでなく「笑顔になるこおとで幸福感を感じる」こともあることが分かりました。例えば下の図を見てみて下さい。AliceとBobという二人がいたとき、Aliceが笑顔を作りそれをBobが見ると、Bobの顔表情はAliceの笑顔のつられて「笑顔」へと変わります。そしてBobは「笑顔を作ること」で、ホルモン分泌によって幸福感を感じる。こういった現象が起きることが科学的に明らかになっています。

そこで我々は、自撮り笑顔写真(セルフィー)をお互いに見せ合うソーシャルネットワーク (SNS) 「SmileWave」を作成し、オンラインでもそうした情動伝染が起こるのか確かめてみることにしました。SmileWaveはいわば、「笑顔のInstagram」です。ユーザはお互いに、自分の笑顔セルフィーを投稿して友人に見せ合いました。SmileWaveでは、(1)投稿された笑顔セルフィーの「笑顔度」さらには、(2)そのセルフィーを他のユーザがスマートフォンで見た瞬間の、そのユーザの反応表情の「笑顔度」を計測しました。

実験してみると、どうやら笑顔による情動伝染は、SNS上でも起こっているらしいということが、データ解析の結果わかってきました。

そこで我々は、この【笑顔の力】と【情報の力】で世界をより健康にしていくような研究を行うワーキンググループ、「TeamSMILE」を立ち上げることにしたのです。

 

2. TeamSmile: そのビジョン

TeamSMILEがめざす世界は、第一に、人々がスマイルの力を理解し、スマイルを通じてお互いにウェルビーイングを促進し合えるような世界。第二に、人々がみなそれぞれに、スマイルを通じて自分の健康状態を把握し、振り返り、促進できるような世界。そして最後に、社会における多様な施策において、スマイルや人々の満足度を介してフェアな評価が行われる世界です。

我々は、様々なIT/AIのテクノロジーと、実世界の様々な機会をつなげ、産官学で活動を盛り上げていきたいと思っています。具体的には下記の様に、笑顔を含む顔表情にまつわる測定、推定/検知、解析、共有、集約、予測、振り返り、安全な管理を核として、ICT/AI技術、認知科学、医学、疫学的観点から、「人の人生」や「都市空間」における課題発見・課題解決を行っていきます。

3. スマイルメーター: 笑顔を計る

具体的な活動の一つ目は、「スマイルメーター」です。これは、みんなが自分の笑顔状態を把握し、自分で安全に保存・蓄積できる、素敵なキオスクデバイスです。

SmileMeter Version.1は、2019年3月、玉川高島屋でのSDGsイベントにてデビューしました。

バージョンアップした「SmileMeter Ver.2」は、イオンモール幕張新都心にて、2019年5月、よしもと芸人さんと一緒に登壇するSDGsイベントにて披露され、大いにウケました。

SmileMeter Ver.2は、その後も地域のイベントなどで出展され、多くの人々に笑顔と健康の大切さをアピールしています。

4. 笑顔とカップルの相性を明らかにする実証研究

2019年初頭、我々はSmileMeterを進化させ、健康情報コンソーシアムの会員企業である株式会社LMO様とともに、新たな実証研究を開始しました。このプロジェクトは、お見合い形式のカップリングイベントにおける様々なカップルの相性を、彼ら・彼女らの笑顔や顔表情の特徴によって分析し、後日のカップル成立状況を参考にして、二人の相性を診断(推定する)AIモデルを作成するというものです。

SmileMeterはバージョンアップし、2人が横に並んで一緒に笑顔度を測定できるゲームへと生まれ変わりました。流れる音楽とかけ声にあわせて2人が笑顔を作っていくと、測定された笑顔度に応じてグラフが生成されていきます。2人の笑顔づくりや顔表情の特長から、簡易的なマッチ度が算出され、盛りあがります。

LMO社が2020年1月に九州4県で実施したイベント「九州良縁」にて本システムは稼動し、多くの参加者の皆様にお楽しみ頂くことができました。

 

5. 17の目標をかかげるSDGs、目標18番目は「笑顔」

国連の持続可能な開発目標であるSDGs。17の目標が掲げられていますが、我々はこのSDGsにおいて「18番目の目標」として「SMILE」をかかげ、これからも活動していきます! 😊

TeamSMILE: メンバー

  • 慶應義塾大学
    • 中澤仁 (慶應義塾大学環境情報学部)
    • 大越匡 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
    • 佐々木航 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
    • 栄元優作 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
    • 三上量弘 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
    • 鶴岡雅能 (慶應義塾大学環境情報学部)
    • 伊藤日菜 (慶應義塾大学環境情報学部)
  • 西山勇毅 (東京大学生産技術研究所)
  • 株式会社LMO