健康情報コラム|vol.11 プロスポーツメンタルコーチと考える、子どもとの良い関係の作り方

【健康情報コラム】
健康情報コラムは、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム※1に所属する専門家などが、健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策等を定期的にコラムとしてご紹介します。今回は、「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチーム「Mental Streeech Project※2」が、日本の自殺予防週間※3(9月10日〜16日)の特別企画として「こころのコラム」を3回連続配信します。

みなさん、こんにちは。

プロスポーツメンタルコーチの鈴木颯人です。国が定める自殺予防週間※3(9月10日〜16日)に合わせた特別企画「こころのコラム」配信の最終回。今回のコラムでは、スポーツメンタルコーチとして、パパ・ママにお伝えしたい”子どもとのコミュニケーションのとり方”をご紹介させていただきます。

 

【プロスポーツメンタルコーチと考える、子どもとの良い関係の作り方】

 

子どもの様子がなんだかおかしい。理由を聞いても答えてくれない。

このような状況に遭遇したことがあるという方はいらっしゃるのではないでしょうか?

163,442人。こちらは文部科学省が調査した令和3年度の不登校生徒の数(中学生)であり、その要因の1位は「無気力、不安」と、不登校生徒の約半数は無気力感や不安感に悩まされている状況となっています。

今回は子どもたちの「無気力感や不安感の背景」、「子どもとの良い関係の作り方」をテーマにコラムを書いていきたいと思います。

【「相手の感情」との距離が遠ざかった子どもたち】

現代の子どもたちの様子を見た時、「無気力感」というより「無感情感」に課題があるのではないかと感じています。というのも、相手の口元を含めた表情を見ずにコミュニケーションを取る機会がここ数年の子供たちは圧倒的に多く、それに伴って「相手の感情」に触れる機会が少ないことが一つの要因であると考えています。

例えば、約3年前にコロナ禍に突入して以降、マスクを着用することがほぼ必須となり相手の口元を含んだ表情を伺うことができなくなりました。加えて、SNSやオンラインゲーム等を通じて直接会い、相手の表情を伺うことなく、コミュニケーションを取る機会も増えています。こういった背景もあり、「相手の感情を読み取る力」や「対面での人との接し方」を学ぶ機会を失ったことが、無気力感や不安感に繋がっているのではないかと思っています。マスクを外しても良いとなっても着け続ける子どもが多いというのもこういった部分が要因になっているのではないかと推測しています。

 

 

【「個人」から「分人」へ】

人は本来、コミュニティごとにキャラクターといった「顔」は変わっていくものであり、たった一つの本当の自分などは存在しないという考え方があります。高校デビューという言葉があるように、生活する環境が変わった時に新しいキャラが生まれた同級生を見かけたことはありませんか?こちらはその人が変わったというより、新しい環境での新しいキャラクラターが生まれただけだと捉えることもできます。

しかし、昨今の世の中ではSNSの普及もあり、異なるコミュニティに足を運んでも何かしらのネット上に漂う個人情報を知る機会があります。新たなコミュニティでも元々いたコミュニティでのキャラ情報が出回り、その自分に近づいていってしまう。このような状況によりどんな環境でも同じ自分を演じ続ける辛さがあるのです。そのため、色々な顔を作れないことで生きづらさに繋がっているのではないかと感じます。

 

【子どもとの関係を築く方法】

「子どもに対してどのような声かけをすれば良いですか?」

職業柄、このような質問をいただく機会が多いです。この点については、表面的に声かけが上手くなることよりも「子どもとの関係値」を高めることが先に重要であると考えています。ダニエル・キム氏の組織の成功循環モデルのグッドサイクルによると、最初に来るのは「関係の質」となっています。この部分の質を上げることは子どもとコミュニケーションを取る上でも良いサイクルに入るきっかけになると思います。

出所:「Sales force」HPより引用

 

関係の質を向上させるツールの一つとして僕が推薦しているのは「ゲーム」です。アナログゲームは特に推していて、ボードゲームやカードゲームを一緒にプレーするのはとても良いと考えています。共通の目的を達成するために話し合い、時には感情が表に出る場面もあり、普段取らないようなコミュニケーションが生まれるきっかけになります。相手の見えなかった部分がゲームを通した交流で見えるようになり、関係性の向上につながります。

これだけを聞くとあまりピンとこないかも知れませんが、是非試して欲しい方法だと思います。

 

「Mental Streeech Project※2」がお届けした「こころのコラム」。いかがでしたでしょうか?ご意見やご感想などあれば、hic@sfc.ac.jpまで、メールをよろしくお願いします。

 

「Mental Streeech Project※2」の活動としては、10月10日の「世界メンタルヘルスデー※4」に、10代・20代のメンタルヘルスをテーマにした配信ライブを予定しています。お楽しみに!

 

 

※1:慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムとは 産官学連携による健康情報の創成を目的として、人の生活をより豊かで健康にする社会構築のために、健康情報獲得技術や健康情報サービス等の研究を進行し、健康情報の力を活用した未来社会を目指している。

※2:「Mental Streeech Project」 「Mental Streeech Project」は「みんながヒーロー プロジェクト ※4」の次なるフェーズとして2023年秋から「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチームです。慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムが展開する3eevidence(裏付け)、education(教育)、entertainment(楽しみ)の3つのeの要素を軸に活動を展開していきます。

※3:「自殺予防週間」 日本では、自殺対策基本法に基づき、毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」、毎年3月を「自殺対策強化月間」と定めて、国、地方公共団体、関係団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出した啓発活動が推進されています。(厚生労働省HPより)。

厚生労働省「自殺予防週間」サイト

厚生労働省「広報の取り組み~いのち支える自殺対策~」サイト

※4:「世界メンタルヘルスデー」 世界精神保健連盟が、1992年より、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として、10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定めました。 その後、世界保健機関(WHO)も協賛し、正式な国際デー(国際記念日)とされています。(厚生労働省HPより)。

厚生労働省「世界メンタルヘルスデー2023」特設サイト



▼コラム筆者プロフィール 

鈴木颯人(スズキ ハヤト) 

スポーツ頑張る全てのアスリートの望む結果にメンタル面からサポートするスポーツメンタルコーチとして活動。心から競技を楽しめない人たちを救うために再現性を追求した心理学、脳科学、スポーツ科学などを交えたスポーツメンタルコーチングを提唱。その普及と活動をライフワークに。一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会 代表理事/自民党 メンタルトレーニング推進議員連盟 所属。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム幹事会員メンバー。

健康情報コラム|vol.10 学生必見!ストレス選球眼を身につけよう!

【健康情報コラム】
 健康情報コラムは、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム※1に所属する専門家などが、健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策等を定期的にコラムとしてご紹介します。今回は、「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチーム「Mental Streeech Project※2」が、日本の自殺予防週間※3(9月10日〜16日)の特別企画として「こころのコラム」を3回連続配信します。

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 「みんながヒーロー プロジェクト※4」メンバー・の橋本勇郎です。

新学期が始まりましたね!まだ暑さが残りますが、いかがお過ごしですか?

私は、普段、プロスポーツメンタルコーチとして、様々な競技や年齢のアスリートのこころをサポートする活動をしています。今回は、スポーツをしていない学生さんにも役立つ!生活がより豊かなものになるきっかけとなるような、こころに関する情報をお伝えさせていただきます。

【身の回りのストレス】

あなたは、「ストレス」というとどういったものをイメージするでしょうか?例えば「テストが不安で眠れない…」 「なんだかイライラする…」ストレスというとこういった精神的なものをイメージすることが多いかもしれません。ただ実はストレスは精神的なストレスだけでなく、例えば「暑い・寒い」「疲れ」といった身体的なものもあります。そんな私たちが感じるストレスの正体は「刺激と反応」。例えばテストという刺激があり、それに対して反応として不安が出てくる。こうしたモヤモヤをストレスといったりしているわけですね。ではそういったストレスにはどのように対処していけば良いでしょうか?

【成長につながるストレスを見極める】

私たちはストレスに対してネガティブなイメージを持ってしまいがち。ただ、必ずしもそう言い切れるわけではありません。自分に必要なストレスに適切に向き合い、対処することはあなたの「成長」に繋がっていく場合があります。
例えばサポートした高校生アスリートの事例でいうと、「指導者とのコミュニケーション」にストレスを感じている学生がいました。「もっと色々なことを教えてもらいたいのに、その指導が物足りない。」といったことにモヤモヤを抱えていました。この時、次は自分で練習メニューを考えてみたり、トレーニング内容を調整する必要があるのかも知れないねと声かけをしてみたんです。そこからは彼にとって新たなチャレンジが始まり、そこには「どのようにメニューを考えれば良いのだろう?」という異なるストレスも生まれました。でも、それらの過程は彼の「成長」に繋がるものになっていきました。これは「指導者と上手くいかない!」というストレスへの向き合い方を彼なりに変えたからこそ生まれた成長だったのです。

もちろん全てとは言いませんが、このように向き合い方次第で「成長」に繋がるストレスというものもあります。あなたのストレスは自分の成長に繋げられそうなストレスですか?1人で考えることが難しい時は先生やコーチ、ご両親や友人にも相談し、成長のためのヒントを探してみるのもいいかもしれませんね。

次回はプロスポーツメンタルコーチの「プロスポーツメンタルコーチと考える、子どもとの良い関係の作り方」コラムです!お楽しみに!

 

 

※1:慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムとは 産官学連携による健康情報の創成を目的として、人の生活をより豊かで健康にする社会構築のために、健康情報獲得技術や健康情報サービス等の研究を進行し、健康情報の力を活用した未来社会を目指している。

※2:「Mental Streeech Project」 「Mental Streeech Project」は「みんながヒーロー プロジェクト ※4」の次なるフェーズとして2023年秋から「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチームです。慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムが展開する3eevidence(裏付け)、education(教育)、entertainment(楽しみ)の3つのeの要素を軸に活動を展開していきます。

※3:「自殺予防週間」 日本では、自殺対策基本法に基づき、毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」、毎年3月を「自殺対策強化月間」と定めて、国、地方公共団体、関係団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出した啓発活動が推進されています。(厚生労働省HPより)。

厚生労働省「自殺予防週間」サイト

厚生労働省「広報の取り組み~いのち支える自殺対策~」サイト

※4:「みんながヒーロー プロジェクト」は、医学・環境情報学など、有志の研究者・専門家・クリエーター・学生らと協働で、新型コロナウイルス感染症予防・感染拡大防止のためのデジタルコンテンツを制作。主にオンラインを通じて世代別・段階的に情報発信している有志プロジェクトチーム。「みんながヒーロー プロジェクト」は次なるフェーズとして、2023年秋から「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチーム「Mental Streeech Project※2」を発足し活動していきます。

 

▼コラム筆者プロフィール 

橋本勇郎(はしもとゆうろう) 

スポーツメンタルコーチ。愛するスポーツをハイパフォーマンスで楽しみたいアスリートを支え、増やすことを目指している。自身のスポーツ経験の中で重要性に気が付くも、その改善方法に悩んだ経験から、同じような悩みを抱えた選手の力になりたいと思いスポーツメンタルコーチを志す。競技や年齢を横断してプロアスリートを含む様々なカテゴリの選手を指導。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム幹事会員メンバー。

健康情報コラム|vol.9 「弱さ」を「魅力」に 

【健康情報コラム】 健康情報コラムは、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムに所属する専門家などが、健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策等を定期的にコラムとしてご紹介します。

みなさん、こんにちは。

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム※1 「みんながヒーロー プロジェクト※2」メンバー・メンタルヘルス教育プログラム講師の原匠です。

健康情報コンソーシアムでは「みんながヒーロー プロジェクト」の次なるフェーズとして2023年秋から「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチーム「Mental Streeech Project※3」を発足します。

発足第一弾の活動として、日本の自殺予防週間※4(9月10日〜16日)には全3回からなる「こころのコラム」の発信、10月10日の「世界メンタルヘルスデー※5」にはチームメンバーでもありプロスポーツメンタルコーチの鈴木颯人さんの 10代、20代のメンタルヘルスをテーマにした配信ライブを予定しています。

 

【「弱さ」を「魅力」に】

「今の自分が嫌いだ。こんなの思い描いていた自分の姿ではない。私って何者なのだろう。」

同世代の人たちのキラキラした姿やSNS投稿などを目にして、「自分なんて…」と思った経験がある人もいるのではないでしょうか?

みなさんと同世代の小学生や中学生、高校生ともに「無気力や不安」に悩まされている人も沢山いるというデータもあります。

こんなことを書いている私は過去に「心の病」を経験した当事者です。学生時代、自分の全てが嫌になり、周りにいる人たちを信じることもできず、自分の人生を投げ出すという選択をしてしまいました。その後、精神科の病棟での入院生活を送っていた際も「今の自分は何をやっているのだろう。」とやり場のない無力感を抱え続けていたことを今でも覚えています。

周囲の方々の支えもあり、何とか大学を卒業し社会人となった私でしたが、再度同じ壁にぶつかってしまい休職させて頂くことになりました。実家で休んでいる時もまた、「こんな人生になるはずじゃなかった。」と自分のことを受け入れることができず、悶々とした日々を過ごしていました。

そんな私にとある転機が訪れ、「自分の弱さ」を受け入れて生きてみようと考えるようになりました。

「自分の弱さを受け入れることができなかった結果、今のような状況に陥ってしまった。社会を見ても自分と同じような状況で苦しんでいる人が沢山いる。」

そんな人たちの力になれるような活動がしたいと、私は自転車日本一周旅を通じた「心の健康普及啓発プロジェクト」を立ち上げることになりました。そして、過去の出来事やこれからのチャレンジについて発信を開始してみた結果、たくさんの人が私のことを応援してくれるようになったのです。

 

一連の出来事で気づいたこと。それは「弱さを見せてはいけない」という私の考えは大きな勘違いであったということです。「弱い自分には価値がない。そんな自分でいてはいけない。」と考えていた私でしたが、「弱さを受け入れて行動に移したこと」が逆に自分の魅力となっていったのです。

伝えたいことは「今のあなたをしっかりと見つめ、受け入れてほしい」ということです。人と比べるなとは言いません。たとえ比べて自分は劣っていると感じたとしても、その弱さに向き合い、前に進んでいく姿勢に人は心を動かされます。

あなたの弱さ、魅力に変えていきませんか?

そんな魅力を生み出せるよう、私たちも一緒に前進していきたいと思います。

 

次回はプロスポーツメンタルコーチの「ストレス選球眼」コラムです!お楽しみに!

<注釈>

※1:慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムとは 産官学連携による健康情報の創成を目的として、人の生活をより豊かで健康にする社会構築のために、健康情報獲得技術や健康情報サービス等の研究を進行し、健康情報の力を活用した未来社会を目指している。

※2:「みんながヒーロー プロジェクト」は、医学・環境情報学など、有志の研究者・専門家・クリエーター・学生らと協働で、新型コロナウイルス感染症予防・感染拡大防止のためのデジタルコンテンツを制作。主にオンラインを通じて世代別・段階的に情報発信している有志プロジェクトチーム。

※3「Mental Streeech Project」 「Mental Streeech Project」は「みんながヒーロー プロジェクト」の次なるフェーズとして2023年秋から「若者のメンタルヘルス」促進に向けた情報発信やコンテンツ制作をするプロジェクトチームです。慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムが展開する3eevidence(裏付け)、education(教育)、entertainment(楽しみ)の3つのeの要素を軸に活動を展開していきます。

※4:「自殺予防週間」 日本では、自殺対策基本法に基づき、毎年9月10日から16日を「自殺予防週間」、毎年3月を「自殺対策強化月間」と定めて、国、地方公共団体、関係団体等が連携して「いのち支える自殺対策」という理念を前面に打ち出した啓発活動が推進されています。(厚生労働省HPより)。

厚生労働省「自殺予防週間」サイト

厚生労働省「広報の取り組み~いのち支える自殺対策~」サイト

※5:「世界メンタルヘルスデー」 世界精神保健連盟が、1992年より、メンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及することを目的として、10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定めました。 その後、世界保健機関(WHO)も協賛し、正式な国際デー(国際記念日)とされています。(厚生労働省HPより)。

厚生労働省「世界メンタルヘルスデー2023」特設サイト

 

▼コラム筆者プロフィール 

原匠(ハラタクミ) 

メンタルヘルス教育プログラム講師として、小学生から大学生を主な対象に講演やワークショップを実施。過去にメンタル不調当事者経験から、若者が心豊かに人生を歩んでいくためのサポートをしています。 慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム個人会員メンバー。

健康情報コラム|vol.8 「文化芸術活動の継続と課題」

【健康情報コラム】 健康情報コラムは、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムに所属する専門家などが、健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

【文化芸術活動の継続と課題】

2020 年2 ⽉末の⽂化イベント⾃粛要請に加え、緊急事態宣⾔による不要不急の⾏動回避の波及により⼈々の意識の中に「楽しむ」ということに不安を感じる考えが芽⽣え、⽂化芸術・ライブエンターテイメントからの⾜を遠ざけていきました。2021 年に⼊っても状況に⼤きな回復はなく、政府の慢性的な要請に対し、⼈々の意識の中に「無関⼼」が蔓延る実態が⾒てわかります。

この⽂化芸術活動の停滞という病を治療するには、どうしたらよいのでしょうか。⼈は、病を治すためにお医者様に相談し、治療と薬を処⽅してもらいます。しかし現在コロナ禍におけるウイルスへの治療薬は未だ研究中ですね。この治療薬がない限り、世界の活動は平常になりません。治療には、数年かかるのではないでしょうか。その薬による治療により効果が出る頃には、⼈々の意識の中に「楽しむ」という⾏動が以前のように湧き上がるのでしょうか。SNS が急加速する中でコミュニケーションの形が変化し、⼈と⼈が直接対⾯で分かり合う事やスキンシップにより親近感を感じる⼼もなくなってしまうかもしれません。

これが今後世の中にまん延する「後遺症」になってしまうかもしれません。もちろんコロナ感染症の終息が第⼀優先だと考えておりますが、ライブエンターテイメント業界の治療も我々にとっては、重要になります。体⼒のなくなった業界への治療は、どの分野の病院を頼ればよいのでしょうか。業界不振の病の進⾏は早く、内科・外科及び神経に関する治療⽤域まで広がっているかもしれません。

⼿当てが必要なエンタメ業界の現状は、設営に関係する各セクションからの離職が甚だしく、たとえ世の中の治癒が終わった後も、⻑いリハビリテーションが必要になると思われます。それは、⼈⼿不⾜という病です。暗い内容ばかりですが、現実から⽬を離してはいけません。毎⽇少しの「兆し」を求めて、⾃分の気持ちを落ち着かせています。

⼈々の⼼を動かす⽇々は、いつ頃やってくるのでしょう。希望をもって⼀⽇⼀⽇を後悔しない様に継続して歩んでいきます。

#楽しむ#無関心#後遺症#治療#エンタメ

 

○『ステージ再開!スタッフ応援プロジェクト』|特設サイト

https://www.keiosfchic-covid19hero-project.com/concert

○『ステージ再開!スタッフ応援プロジェクト』企画・制作|感染対策教育ツール

◆コロナ禍のコンサートにおける基本的な感染対策(簡易マニュアル)

https://drive.google.com/file/d/1QC0zn7yGcfzcl5amcb80yjHYXbyay-_Q/view

◆「新型コロナウイルス感染症の基礎知識」(動画)

https://youtu.be/1ZEaxqhoFNg

◆「楽屋・控え室」「リハーサル中」で気をつけること(動画)

https://youtu.be/VqXWKRQhHuk

◆「仕込み/バラし」「ステージ周り」「オモテ周り」で気をつけること(動画)https://youtu.be/FRfydUz96lU

◆「出演者」「演出」にお願い・質疑応答・消毒アルコールについて(動画)

https://youtu.be/h4YHzpaptHI

 

 

▼コラム筆者プロフィール 

柿嵜伸一(かきざき しんいち) NPO 法人日本舞台技術安全 事務局長。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 幹事会員メンバー。

			

健康情報コラム|vol.7 「リプロダクティブライフプラン(生殖に関する人生設計)について」

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム(神奈川県藤沢市、代表:中澤 仁)に 所属する専門家が、さまざまな健康情報をお伝えします。 健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

 

【リプロダクティブライフプラン(生殖に関する人生設計)について】

 

 

プレコンセプションケアとは、若い男女が将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合うことです。プレコンセプションケアに関連し重要となるのが、将来、子どもをもつのか、もたないのか、子どもをもちたいとすればいつ頃、何人もちたいか、子どもをもつまでどのように過ごすかという生殖に関する人生設計、すなわちリプロダクティブライフプランです。 リプロダクティブライフプランを考える、といっても漠然としていてどうやって考えたらよいのかわからない、という方のために、考えるいくつかのポイントについてお伝えしたいと思います。

 

まず①結婚するのかしないのか、するのであれば、いつ頃、どんな人と?、もちろん「しない」という選択も尊重されるべきです。次に、②子どもをもちたいのかもたないのか?、もし「もちたい」と考えるのであれば、いつ、何人、どのくらいの間隔で持ちたいのか?、もちろん「子どもをもたない」という選択も尊重されるべきです。このようにリプロダクティブライフプランについてお話しすると「今、付き合っている相手もいないのに💦」というご意見をいただくことがあります。たとえば、今パートナーがいなくても、自分はどうしたいのか、考えることが必要です。もし、「結婚はしたい、子どもももちたい」と考えているのであれば、それが実現できる可能性のあるパートナーと出会うための行動が必要となってくるからです。人生には予測外のことがたびたび起こりますから、プラン通りにならないこともあると思います。それはまったく構いません。転機ごとに見つめ直し、そのときに最適と思われるプランに書き換えていきましょう。ライフプランを立てることによって「自分が送りたい人生、望んでいる生き方」がわかる、まずはそのことが重要です。目標が見えることによって、明日から行動することができる、それがライフプランを立てるメリットです

写真:慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム共催イベント (上席所員:本田由佳 提供)

 

▼コラム筆者プロフィール 

西岡 笑子(にしおか えみこ)

防衛医科大学校医学教育部看護学科母性看護学講座教授。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 賛助会員メンバー。