健康情報コラム|vol.7 「リプロダクティブライフプラン(生殖に関する人生設計)について」

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム(神奈川県藤沢市、代表:中澤 仁)に 所属する専門家が、さまざまな健康情報をお伝えします。 健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

 

【リプロダクティブライフプラン(生殖に関する人生設計)について】

 

 

プレコンセプションケアとは、若い男女が将来のライフプランを考えて、日々の生活や健康と向き合うことです。プレコンセプションケアに関連し重要となるのが、将来、子どもをもつのか、もたないのか、子どもをもちたいとすればいつ頃、何人もちたいか、子どもをもつまでどのように過ごすかという生殖に関する人生設計、すなわちリプロダクティブライフプランです。 リプロダクティブライフプランを考える、といっても漠然としていてどうやって考えたらよいのかわからない、という方のために、考えるいくつかのポイントについてお伝えしたいと思います。

 

まず①結婚するのかしないのか、するのであれば、いつ頃、どんな人と?、もちろん「しない」という選択も尊重されるべきです。次に、②子どもをもちたいのかもたないのか?、もし「もちたい」と考えるのであれば、いつ、何人、どのくらいの間隔で持ちたいのか?、もちろん「子どもをもたない」という選択も尊重されるべきです。このようにリプロダクティブライフプランについてお話しすると「今、付き合っている相手もいないのに?」というご意見をいただくことがあります。たとえば、今パートナーがいなくても、自分はどうしたいのか、考えることが必要です。もし、「結婚はしたい、子どもももちたい」と考えているのであれば、それが実現できる可能性のあるパートナーと出会うための行動が必要となってくるからです。人生には予測外のことがたびたび起こりますから、プラン通りにならないこともあると思います。それはまったく構いません。転機ごとに見つめ直し、そのときに最適と思われるプランに書き換えていきましょう。ライフプランを立てることによって「自分が送りたい人生、望んでいる生き方」がわかる、まずはそのことが重要です。目標が見えることによって、明日から行動することができる、それがライフプランを立てるメリットです

写真:慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム共催イベント (上席所員:本田由佳 提供)

 

▼コラム筆者プロフィール 

西岡 笑子(にしおか えみこ)

防衛医科大学校医学教育部看護学科母性看護学講座教授。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 賛助会員メンバー。


健康情報コラム|vol.6 「あなたは1%に入りますか?」

 

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム(神奈川県藤沢市、代表:中澤 仁)に 所属する専門家が、さまざまな健康情報をお伝えします。 健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

 

あなたは1%に入りますか?

あなたは「今」、なわとびを跳んでいますか?この質問を小学生の頃にしたらほとんどの子が「YES」と答えると思います。 では改めて。 あなたは「今」、なわとびを跳んでいますか?数年前にウォークラリーの終点で健康に敏感な大人に向けて同じ質問をしたところ、なんと99%が「NO」と答えられました。 畳一畳あれば誰でもできる手軽な運動なのに、です。

 

「第三回全国なわとびスピードコンテスト2019」 ダブルダッチ部門試合風景

 

なわとびの可能性

運動的側面から見ても、なわとびは全身にある47の筋肉を満遍なく動かし、筋力アップ、心肺機能の向上につながると共に、骨にかかる垂直な刺激が骨密度をも高めると言われています。 また、今のこどもは転ぶ時に手がつけないなど運動神経の低さが取り沙汰されますが、神経の働きが最も伸びる幼児期から成長期にかけて特定のスポーツだけでなく、いろいろな動きを身につけておくことは、将来スポーツの技能や体力を高めるために大変重要なことです。運動をしている時は、7つのコーディネーション能力が複雑に組み合わさっているのですが、なわとびは全ての能力を使う「究極のコーディネーション運動」と呼ばれ、このコーディネーション運動を3~7歳の間にどれだけやっているかで、その後のスポーツ人生が変わるとまで言われています。

 

「第三回全国なわとびスピードコンテスト2019」 エイト部門試合風景

 

健康情報コンソーシアムでは、おじいちゃんからお孫さんまで、「誰もが一度はやったことがある家族みんなでできる運動」という位置付けで、コロナ禍においても縄1本と逞しい想像力があれば、様々な跳び方ができるなわとびの色々な可能性を追求していきたいと思います。 いつか、学校の先生方の間で囁かれる「なわとびやった後は算数の出来がいい」「高学年でなわとびが得意な子は高学歴」などというまことしやかな学校伝説の謎も解明されるかもしれません。乞う、ご期待!

※大人の方が張り切ってなわとびをする場合、昔取った杵柄はあてになりません。子供の頃の柔軟性は失われていることを肝に銘じて、準備運動、整理運動はくれぐれもお忘れなくお願いします!

 

 

「なわとび最高!動画」

 

▼コラム筆者プロフィール 

特定非営利活動法人 日本なわとびプロジェクト http://jjrp.jp/

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム幹事会員メンバー・Teamなわとび






健康情報コラム|vol.5 「カリフォルニアプルーン 101」

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム(神奈川県藤沢市、代表:中澤 仁)に 所属する専門家が、さまざまな健康情報をお伝えします。 健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

 

【カリフォルニアプルーン 101※】


プルーンとは、プラム(西洋すもも)を乾燥させたドライフルーツですが、全てのプラムがプルーンになるわけではありません。カリフォルニアプルーンの原木は、1840年代のゴールドラッシュ時代に南フランスから持ち込まれた高品質で名高いプティ・ダジャンという種類のプラム(西洋すもも)の苗木を、アメリカ産のプラムに接ぎ木して栽培されました。日中に安定的な日照で温められ、夜間に下がった気温で冷却される肥沃な大地が連綿と続くカリフォルニアの渓谷で繁殖するように改良されたこのプラムの木は、「改良フランス」種と呼ばれ、他の品種とは違って、発酵することなく樹上で完熟します。

 

 

 

カリフォルニアでは、この完熟した実をシェイカーとよばれる自動揺さぶり機で丁寧に収穫し、木枠にのせて約18時間かけて乾燥させ、完全なドライフルーツに仕上げます。

 

カリフォルニアプルーンは自然なうま味と甘味、そしてかすかな酸味が織りなすみずみずしさで知られていますが、実はビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維等、健康全般と免疫システムを保持するために重要な栄養素がぎっしり詰まっています。日米の研究者によって、カリフォルニアプルーンを食することによる腸、心臓、骨の健康と体重管理に及ぼす好影響を解明するための研究がかなり進んでいます。

 

骨を丈夫に保つ栄養素】

プルーンには骨の主成分であるカルシウム、骨形成を助け強化するビタミンK、骨を丈夫に保つマグネシウムなどが含まれています。フロリダ州立大学が実施した研究*では、閉経後女性の骨に対するプルーンと乾燥りんごの効果について、閉経後女性の、12か月間、毎日プルーン100gを食べた群、同量の乾燥りんごを食べた群を比較したところ、プルーン群は尺骨と脊髄の骨密度が優位に増加しました。

 

カリフォルニアプルーンの栄養健康効果については以下をご参照ください。

https://www.prune.jp/health

 

注釈 ※:「101(ワン・オー・ワン)」は「Introductory lesson」「Basic Introduction」、日本語で「入門講座」「初級編」という意味。

 

 

▼コラム筆者プロフィール 

カルフォルニアプルーン協会 https://www.prune.jp/

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム幹事会員メンバー

 

 

 

 


健康情報コラム|vol.4 「親知らず(智歯)の手入れについて」

 

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム(神奈川県藤沢市、代表:中澤 仁)に 所属する専門家が、さまざまな健康情報をお伝えします。 健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

 

【親知らずの周りが腫れてしまったらどうしたら良いの?】

上顎(あご)と下顎の最後にある歯のことを、「智歯(ちし)」いわゆる「親知らず」と言います。妊娠中の女性や産後ママさんの中には『早めにむし歯を治しておこう』と注意している人は多いのですが、意外と見落とされているのが、親知らずです。 もし親知らずの周りが腫れてしまっても、なかなか歯科医院に行く時間を取れない場合も多いのではないでしょうか。

親知らずの周りが腫れて痛くなる原因は、歯と歯肉(歯ぐき)の境にある歯周ポケットに食べ物のかすが溜まって細菌が繁殖するからです。 親知らずの周りが腫れてしまったときの対処方法として次の3つの方法をお勧めしています。

  • 毛先のやわらかい歯ブラシやガーゼで歯の周囲をできるだけきれいにし、洗口薬やうがい薬を使いましょう
  • 血の巡りが良いと悪化します。長風呂は避けて、安静を保ちましょう
  • 症状が治まっても、できれば早めに歯科医院を受診し、クリーニングを受けて、歯磨きの仕方を習ってみましょう

 

【親知らずって抜いたほうが良い?】

親知らずはもともと生えてこない人もいますが、国立スポーツ科学センターで検診を受けたトップスポーツ選手約300人の調査報告では、96.3%は親知らずが1本以上あり、うち73.2%で上下左右の全4本の親知らずがありました。

親知らずは、生えている途中の状態(一部埋まっている)あるいは生え方に問題がある状態(ずれて生えているなど)になりやすく、歯磨きをしにくいため、虫歯ができやすくなります。先ほどの調査報告でも、上顎で38%、下顎では48%が虫歯になっていたといわれています。

親知らずはまっすぐ生えていますか? 腫れて痛くなったことないですか?

もし親知らずがまっすぐ生えていなくて痛みが出ることがあるようなら、早めに抜いたほうが良いでしょう。抜いた時のダメージは、トップスポーツ選手で平均4~5日程度で、下顎の方が1~2日長引くと言われています。まっすぐ生えている、あるいは痛みが出ていない場合は、今の状態を維持できるようにかかりつけの歯科医院で歯磨きの仕方を習って、定期的にクリーニングをしてもらいましょう。

 

〈引用文献〉
豊島 由佳子, 宇津宮 幸正, 近藤 尚知, 松本 芳郎, 高橋 敏幸, 松本 勝, 上野 俊明:20歳前後のトップアスリートの智歯保有状況と抜歯の影響. スポーツ歯学, 15(2), p89, 2012

 

▼コラム筆者プロフィール

中禮 宏(ちゅうれい ひろし)

歯科医師として、ジュニアからシニアまで幅広い年齢層の方々に、口・歯・顎の健康の維持・管理・回復・増進を図り、歯のトータルケアを通じて、安全かつ楽しいスポーツライフのお手伝いをしています。

東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 スポーツ医歯学分野。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム 個人会員メンバー。

 

リライト:須川 真由美(医療編集ライター)、図:小岩 宏子(グラフィックデザイナー)


健康情報コラム|vol.3 TeamBONEの活動

【健康情報コラム】 健康情報コラムは、慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムに所属する専門家などが、健康・医療に関する最新情報や健康改善に向けた対策を毎月コラムとしてご紹介します。

 

 

【「天気の良い日は外へ!」】

この原稿を書いているのは、新型コロナウイルス感染拡大第5波で、いよいよ東京から病床が無くなるという危機に直面している真っ最中です。私の勤務している病院も、東京都の要請を受け、一般病床をさらにコロナ患者さん用に割り当てることとなりました。整形外科医の私はコロナ患者さんを治療して救うチームには入れないので、せめて、「今、骨折しても手術できないからね」と、外来の患者さんには普段以上に転倒予防をお願いし、電話診療を進めています。  さて、こんな世界になって思うのは「リテラシーが最大の防御力」ということです。ちまたには、コロナ感染症やワクチンに対する情報であふれています。まるで、水族館の巨大水槽の中の魚たちのように、様々な魚(情報)がうごめいています。目立つ魚が、安全で美味しいわけではなく、毒のある魚ほど目立つ格好をしていたりします。きちんと調べないと、どの魚にどのくらいの栄養があるのかはわかりません。その中から、正しい人が言っている「あの魚を食べた方がいい」という情報をもとに、どの魚を選ぶかを自分で判断しないといけません・・・水族館の巨大水槽は、食べるための魚を展示しているわけではありませんが・・・・。正しい情報を見極めて、正しく行動して、自分の生活に生かす、それが「リテラシー」です。誰も経験したことのない危機に直面した時には、このリテラシーこそが、身を守る最大の武器だと思います。「コロナのワクチンを受けたら、遺伝子が変わっちゃう」「ワクチンで不妊症になる」そんな毒魚に振り回されないようなリテラシーを、より多くの人が身に付けられたら、と思っている毎日です。

 

 

【「さあ、ジャンプしよう!」という文化】

TeamBONEは、「若い時期に元気で美しい骨になるために、自分で考え、行動できるようになる(ヘルスリテラシーを高める)」ためのお手伝いをすることがテーマです。

骨は、日々の良い習慣の積み重ねで、強くすることができます。骨に振動が伝わるような運動を欠かさないこと、吸収率の良い食品でカルシウムをとること、日光浴や魚からビタミンDをとること、特に骨が強くなる時期である思春期を意識して、大切に過ごすこと。例えば、「顔や手がシミだらけになるのは嫌だ」と、紫外線を避けるのであれば、代わりにサプリメントでビタミンDを取ることを選べば良いと思いますし(サケ・サンマ・イワシなどの魚ばかり毎日食べるわけにはいかないと思いますので)、運動が苦手で運動部に入らないとしても、家で縄跳びをしたり、ぴょんぴょん飛び跳ねたり、という動きをこまめにすることを習慣にしたりすれば良いと思いますし、牛乳を飽和脂肪酸含有食品だから飲むのは体に良くないと避けるのであれば、無脂肪乳や豆乳を積極的に飲むようにすればいいと思います。大切なのは「避けることによって失うものがある」ことを知ることだと思います。 TeamBONEの活動を地道に続けていくことで、いつの間にか「骨にいい習慣」が広まって、色々な人が多方面から日光・栄養・運動の大切さや思春期の重要性を伝えてくれるようになるのではないかと思います。そして、色々なところで、その話を聞くことで、いつの間にか「今日は天気がいいから、外でお日様を浴びよう!」「今は、体が作られる時期だから、ジャンプしよう!」とみんなが自然に考えるようになるのではないか、いつの日か「文化」として定着するのではないかと、大きな夢を見ています。

Team BONEについてのリーフレットはこちらから https://hip.sfc.keio.ac.jp/teambone/contents/20190309_A4.pdf

コラム筆者プロフィール

坂本 優子(さかもと ゆうこ)

順天堂大学医学部附属練馬病院 整形外科 准教授

小児整形外科と骨粗鬆症などの骨代謝性疾患を専門として、こども達の骨や関節の病気の治療に携わる。ビタミンD不足の子ども達の増加に伴い、日光浴の大切さを訴えている。二児の母

慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアムメンバー・Team BONE代表